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2018-08-01 12:15

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高齢出産でなくても気になる…胎児の状態を把握する「出生前診断」とは?

ウーマンNS
2017年の第1子平均出産年齢は30.7歳。35歳以上の初産も全体の2割、総出生数では3割弱になり、高齢出産が珍しくない状況です。
高齢になると流産の確率も上がり、「染色体異常」を持った子どもが生まれる確率もぐっと上がります。そこでいま注目されているのが「出生前診断」です。
今回は、これまで多数の新型出生前診断を行ってきた八重洲セムクリニックの奥野院長に伺ったお話を交えながら、出生前診断の実態に迫ります。

「出生前診断」とは?
ウーマンNS
出生前診断とは、赤ちゃんが胎内にいるときにその状態を把握するために行う検査のことをいいます。特殊な検査を思い浮かべがちですが、検診で常時行うエコー(超音波)検査なども出生前診断の一つです。
エコー検査は胎児に影響を与えることなくできる検査(無侵襲検査)ですが、胎児がある程度の大きさまで成長しないと見えないことがあり、また微細な異常を発見することはできません。そこで「染色体レベルで異常がわからないか?」との考えが出てきたのです。

染色体レベルの検査の種類
まず注目されたのは「羊水検査」。妊婦のお腹に針を刺して羊水をとり、そこに含まれる胎児由来の細胞を調べるという検査方法です。
羊水検査は微細な異常を除けば、診断精度は100%といわれていますが、流産の確率も約0.3%程度あります。費用は12〜15万円程度が相場のようです。
同様の検査に「絨毛(じゅうもう)検査」があり、こちらは胎盤の一部を採取して調べます。

次に「母体血清マーカーテスト」が登場します。これは妊娠中に変化するホルモンやたんぱく質量によって、21トリソミー(ダウン症)や18トリソミーといった染色体異常の確率を測定するものです。
あくまで確率が出るだけなので、精度としては低いものになります。費用は2〜3万程度です。

新型出生前診断とは?
2011年(日本への導入は2013年)に生み出され、染色体レベルの診断に飛躍的な革新をもたらしたのが「新型出生前診断」です。
正式には「無侵襲的出生前遺伝学的検査(Non-Invasive Prenatal genetic Testing/略してNIPT)」と呼ばれるこの検査は、母体の血液から胎児のDNA断片を解析するため、従来よりも精度の高い診断が行えます。血液検査なので、胎児に影響を与えることなく安全に検査できることが大きなメリット。また母体血清マーカーテストと違い、全染色体を検査することができます。
羊水検査などはある程度お腹の大きくなった妊娠16週くらい(絨毛検査で10〜13週)からしか検査ができませんが、NIPTは10週から検査が可能です。

ただし、陰性的中率が99.9%と非常に高く、不必要に侵襲的検査を受ける必要がない一方で、陽性的中率は85%程度で、確定診断には羊水検査などの侵襲的検査を受ける必要があります。
費用は20万円と、他の検査に比べるとやや高くなっています。

検査を受ける意味
八重洲セムクリニックの奥野院長によると、検査を受ける半数以上が35歳以上の方だそう。中でも2人目以降の出産時に受ける場合が多いそうで、経産婦であっても年齢的に不安になる方が多いようです。

高齢出産でなくとも、「もし異常を持って生まれてきたら?」と不安に思う人は多いでしょう。
何があっても産むと決めている方は、いずれの出生前診断を受ける必要はありません。しかし、異常があった場合、産むこと自体を考えたい方には、いきなり流産の可能性のある検査を受けるより、事前にこのNIPTを受ける価値があるでしょう。

いずれにせよ、一人で考え、悶々とするより、きちんとした施設でカウンセリングを受けてみることをお勧めします。その上で、自分たちの考えをはっきりさせ、その考えに応じて検査を受けるのか、受けないのか、受けるのであればどの検査を受けるのかを決めるのがよいのではないでしょうか。

※取材協力
八重洲セムクリニック 奥野院長
http://cem-clinic.com/director/

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